高校卒業前、進路が決まった生徒だけに行われる講義があった。講義といっても、習字とかジャズとか、そういう習い事みたいな感じの内容。
その一コマで、とある先生が「僕の講義では映画を観ます」と言って、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』を流した。最初は、みんな口々に「なんでクレヨンしんちゃん(笑)」「このチョイスなんなの(笑)」と小馬鹿にしていたのに、終わったあとは何人かの泣き声と「よかったねー」という声が聞こえた。
それから何年か経って、会社に入る前、上司と映画について話す機会があった。
「俺はね、クレヨンしんちゃんのオトナ帝国の逆襲が好きだなあ。あれ、泣けるよね」と言われたとき、まさかここでもあの映画に出会うとは、と思い、「わたしも泣きました」と笑った。(2016-6/30)
@ msannさん